「ぐっすり眠れない」「スッキリ目覚められない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。そんな方の中には、睡眠の質が悪いことに気付いていない人も多いはずです。そこで今回は、睡眠についての情報はたくさんあるものの、どうしたらいいか分からずに眠れぬ夜を過ごしている方に向けて、正しい睡眠の情報をご紹介します。
睡眠の質の重要性
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毎日6時間以上寝ているのに、朝起きると疲れが取れていなかったり、夜中に目が覚めてしまう方はいませんか? そんな方は、睡眠の「量」ではなく「質」が悪いのかもしれません。
厚生労働省が行った調査では、睡眠があまりとれていない人とまったくとれていない人の合計が男性 19.7%、女性 19.6%という結果が出ています。つまり、日本国民のほぼ5人に1人は眠りにくい、つまり「睡眠の質が悪い」ということです。
睡眠の質とは「眠りの深さ」を指し、元気の源となります。
睡眠の質が悪くなると、高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や各種がんなどにかかりやすくなる上に、病気が進行しやすくもなると言われています。また、精神的にも記憶力や判断力、集中力などが低下し、気分が落ち込んでうつ病になるリスクも高まりやすくなるため、睡眠の質というのはとても重要なファクターなのです。
参考 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html
睡眠の質が悪くなる要因
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眠れていない人が多い中、睡眠の質が下がる理由はさまざまあります。本記事では、睡眠の質が悪くなる要因として、生活習慣、寝室環境、ストレスの三つを取り上げます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
生活習慣
生活習慣では光のコントロールが問題となります。たとえば、寝る直前までスマートフォンを触るのはおすすめできません。ブルーライトは睡眠の質を低下させる大きな要因です。画面から発せられるブルーライトは質のよい睡眠に不可欠なホルモンの“メラトニン”を減らし、見ているうちに眠気が弱まってきます。
スマートフォン使用者のなかには、「眠気がこなくて朝まで起きていた」「スマホで動画を観ていたら朝になっていた」という方も少なくありません。
寝室環境
心地良い睡眠を促すためには、自分に合った寝具を使うことが大切です。枕やマットレスなどが自分の体型に合っていないと、寝ている時に腰や肩、首などに負担がかかり、身体が痛くなってしまいます。また、筋肉の緊張により身体に痛みや不快感が生じるケースもあります。
温度と湿度、広さ、明るさ、音などが睡眠の質に関わります。例えば暑すぎたり、寒すぎたりする部屋では快眠を得られにくくなります。また40デシベル(図書館くらいの静かさ)以上の音があるのも、睡眠によくない影響を与えます。
これにより、途中で目が覚めてしまったり、レム睡眠とノンレム睡眠の周期を乱してしまう恐れがあるのです。
ストレス
通常、日中は交感神経が、眠るときは副交感神経が優位に働くようになっていますが、ストレスは、交感神経を優位にします。
ストレスなどが原因で自律神経のバランスを崩してしまうと心拍数が高まり、精神の高揚や緊張を招くため寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりします。
つまりストレスによって眠ろうと思っても交感神経が働き、不眠や睡眠の質を下げる原因となるのです。趣味などを見つけ、ストレスを発散できる環境を整えることが大切です。運動はストレスの解消に効果的な他、適度な疲労感が寝つきを良くします。寝る直前に運動を行うと交感神経が優位になりますので、運動を行う際はお昼や夕方などの時間帯に行いましょう。
睡眠の質についてのウソ・ホント
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睡眠についての知識が深まったところで、ここからは睡眠の質についての疑問にお答えしていきます。一般常識として知っていることや、「今まで常識と思って信じてたのに」ということが本当は嘘なのかもしれません。一度、一緒に見直していきましょう!
正しい睡眠時間は6時間〜8時間?
誰もが一度は「1日8時間の睡眠を取ったほうが健康に良い」という説を耳にしたことがあるかと思います。厚生労働省は成人の場合、1日に6~8時間の睡眠を勧めていますが、年齢を重ねるにつれて睡眠時間は短くなります。
実は、もともと睡眠は個性的なもの。性別や状況によっても変わってくるので、あまりこだわりすぎずに目安として考えるのがおすすめ。むしろ、睡眠時間に気を取られすぎて「今日も眠れなかった……」「まだ寝れない」と気に病む方が睡眠の質には悪影響です。
朝、明るくなるころに自然に目が覚めて、日中は眠気なく過ごせていれば、睡眠の実時間はあまりこだわることはないのです。
【結論】
年齢や性別・状況・個人差により異なるので、目安としてとらえて縛られる必要はない
カフェインの摂取はNG?
カフェインは睡眠物質のアデノシンをブロックすることで、眠気を覚ます効果があります。そのため、夜、長時間眠る前のカフェイン摂取はNGです。しかし、短時間の昼寝の場合は飲むのがおすすめです。その理由は、カフェインによって睡眠慣性を早くなくすことができるため。寝起きがすっきりして、ダラダラと眠ることを防げます。
【結論】
夜寝る前のカフェインは控える。ただし短時間の昼寝の前ならOK
二度寝は身体によくない?
二度寝していると、逆に体がだるくなってしまうことがありますよね。これは、浅い睡眠が、必要以上に長く続くためです。
しかし、寝不足を解消するための短時間の二度寝は睡眠不足解消につながるので、むしろ短時間であればおすすめなのです。
目覚める予定時刻の前後には、コルチゾールというホルモンの血中濃度が急に高まります。コルチゾールは、ストレスを和らげる働きがあり、また、膠原病やアレルギーの治療にも使われているなど、リラックスや多幸感につながると言われています。
【結論】
二度寝は睡眠不足解消につながる。ただし長い時間の二度寝は避けて
真っ暗な部屋は眠りの質が下がる?
真っ暗な環境を不安に感
じる方の場合は、常夜灯などを使いましょう。しかし、眠るときの明るさは4ルクス以下が理想的で、一般的に睡眠中は暗いほどよいとされています。眠る1〜2時間前からは、やや暗めの白熱灯の下で過ごすと副交感神経の働きでリラックスして寝付きがよくなるようです。
ちなみに、朝は2500ルクス以上の強い光(朝日など)を浴びると、スムーズに目覚められます。
【結論】
基本的には部屋は暗くして眠るのがおすすめ
睡眠の質を上げるコツ
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睡眠の質を上げるのに抑えておきたいのが、眠りのリズムです。
睡眠には脳が起きている状態の「レム睡眠」と、脳も眠っている状態の「ノンレム睡眠」があり、交互に繰り返しています。眠りにつくとまず90分間程度の「ノンレム睡眠」状態が訪れ、すべての睡眠の中でも最も深い眠りとされています。
この最初の「ノンレム睡眠」状態時、つまり入眠時の状態をベストにしてしっかり眠ることができれば、睡眠の質を上げることができるのです。ここでは、入眠時に意識したい睡眠の質をあげるコツについて紹介していきます。
1.夕食は就寝3時間前、入浴は就寝2時間前までに
布団に入るときは、体も心もリラックスした状態を作っておきたいため、体が眠る準備を整えることをおすすめします。胃の中に食べ物が残っている状態だと、胃腸が消化のために働き続けてしまうため、「ノンレム睡眠」に入りづらくなってしまいます。
また、体の中心の温度「深部体温」は眠る時に下がるため、眠る直前にお風呂に入るのではなく、2時間かけて徐々に深部体温を下げていく方がおすすめ。そのため、夕食は就寝3時間前、入浴は就寝2時間前までに済ませるようにしましょう。
2.眠る前のスマホ操作、アルコール・カフェインの摂取を控える
スマホやパソコンなどの電子機器が放つブルーライトは太陽の光に近い性質のため、脳が時間を誤認識して、覚醒してしまいます。上記で書いたように、眠る時に必要な副交感神経の働きを鈍くするカフェインも控えてください。
また、「寝酒」としてアルコールを飲む方もいますが、それも控えましょう。アルコールを分解するためにアセトアルデヒドが発生するため、体内での活動が活発になり、眠りが浅くなります。
3.ぬるめのお湯で入浴
熱めのお湯に長く入ることは体の覚醒を誘ってしまうため、就寝に必要な体温変化を得にくくなります。高温のお湯は体の負担も増大するため、38度ほどのぬるめのお湯に5~30分つかってみましょう。体をじっくり温めることで、緊張をほどきリラックス効果を期待できます。
4.アロマオイルを使う
アロマオイルを使うことで、気持ちが落ち着き、スムーズに眠りに入りやすくなります。
自律神経を整えるラベンダーや、ストレスを和らげ前向きな気持ちに導くスイートオレンジなど、自分にとって心地よい香りを使うとより効果的。
最近では「おやすみブレンド」など、寝るときに適したブレンドのオイルも発売されています。アロマディフューザーやアロマストーンもいいですし、用意できなければアロマオイルをティッシュに1、2滴しみこませ、枕元に置いておくだけでもいいでしょう。
5.寝つきをよくする音楽を聴く
リラックスしているときは、脳波がα波という波長になっています。α波に切り替えるには、リラックスできる音楽を聴くのもおすすめです。ヒーリングミュージックと呼ばれるものや、副交感神経が優位になる音楽ならリラックス効果が期待できます。川や海などの水のせせらぎ、クラシック音楽などもおすすめ。気に入ったものを見つけてみましょう。
眠るときはタイマーをかけ、睡眠の邪魔にならない音量にします。できれば眠る1時間前から音楽を聴き始めると、入眠がスムー
ズになりますよ。
6.ストレッチ
日中に運動を行うと、生活のリズムにメリハリが出て、自然な眠気から睡眠につなげることが期待できます。そのため中途覚醒が少なくなり、熟睡することが多くなるでしょう。
動きすぎて興奮状態で眠れないときは、体の血液循環を良くするストレッチもおすすめです。ストレッチには、深部体温をスムーズに下げる効果があります。また筋肉の緊張をほぐす効果もあるので、体がリラックスして、深い眠りにつきやすくなります。
オーバートレーニングにならないように気を配り、自分の生活リズムに合わせて運動強度を調整すると、より深い眠りを得られるでしょう。
7.サプリメントを活用する
睡眠サポートが期待できる製品はたくさんあります。サプリメントは薬と違い、手軽に摂取できる点が良い点の一つで、睡眠サプリは「睡眠の悩みはあるけど、睡眠薬はちょっと…」といった方にもおすすめです。
睡眠をサポートする成分はさまざまあります。GABA(ギャバ)、グリシン、テアニン、ラフマ葉エキスなどが知られており、どの成分が配合されているのかを確認してサプリを選びましょう。また、服用している薬がある方は、医師に相談した上で購入しましょう。
GABA:一時的・心理的なストレスを低減する。
グリシン:体の温度を下げ、自然な眠りに導く。
テアニン:茶葉に含まれる成分で、リラックスを促す。
精神的に負担を感じるという方には、GABAやテアニンが配合されているものがおすすめです。
寝るときに体が熱くなって眠れない方には、深部体温が速やかに下がるグリシンがおすすめ。グリシンには、睡眠の質、睡眠の量を改善する働きが報告されています。寝るときになんだか安眠できないという方にはピッタリの睡眠サポート成分です。
GABA
GABA(ギャバ)はアミノ酸の一種で、副交感神経の働きを高め、リラックスさせることを期待されている成分です。GABAを摂取することで、深い眠りであるノンレム睡眠の時間が長くなるという報告がされています。
グリシン
グリシンとは、エビやホタテ、イカ、カニ、カジキマグロといった魚介類に多く含まれる成分です。体内に広く存在するアミノ酸で、脳の体内時計に作用して睡眠のリズムを調整すると言われています。
睡眠に問題を抱えた人が就寝30分前に3gのグリシンを摂取したところ、朝はスッキリと目が覚め、日中の作業効率も向上したという研究結果も報告されています。
テアニン
テアニンは、アミノ酸の一種で、主に緑茶や紅茶といったお茶に含まれており、特に玉露や抹茶のようないわゆる「高級」なお茶ほど多く含まれています。
テアニンには副交感神経を優位にする働きとともに、人がリラックスした状態でいるときに脳内で多く発生する「α波」という脳波を増強する働きを持っており、リラックス効果があります。
覚醒状態を保つために必要な神経伝達物質の働きをブロックし、交感神経の働きを抑えることが知られている成分で、中途覚醒(夜中に目が覚めてしまう)の改善や、睡眠の質の改善が期待されています。
まとめ
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最近の研究によると、仕事で最高のパフォーマンスを上げている人とそうでない人とでは、「睡眠の質」に違いがあると言われています。環境を整え、規則正しい生活を送ることが質のよい睡眠には不可欠です。目覚める時刻を一定にすることで、体内時計のリズムが整います。
暑すぎたり寒すぎたりして体温調節がうまくいかないときは寝つきが悪くなるので、室温や湿度を季節に応じて調整しましょう。良質な睡眠でしっかり体を回復させ、仕事やプライベートにもハリのある生活をしましょう!
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