検索

大人でもアトピーに?大人のアトピー性皮膚炎ってなに?予防はどうする?

アトピー性皮膚炎が起きるメカニズムは、いまだに不明な点もたくさんありますが、最近10年ほどでかなり解明が進み、だいぶいろいろなことが明らかになってきました。そこで、今回はアトピー性皮膚炎の原因と対策としておすすめの食べものや生活習慣のアドバイスをご紹介します。


アトピー性皮膚炎とは


アトピー性皮膚炎とは、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする皮膚の病気です。原因や症状には個人差があり、症状を悪化させる要因も人それぞれ異なるのがアトピー性皮膚炎の特徴。まずは、アトピー性皮膚炎についての症状や原因など、詳しい知識を知りましょう。


アトピー性皮膚炎の症状と原因

日本皮膚科学会によるとアトピー性皮膚炎とは、「増悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ(アトピー性皮膚炎診療ガイドラインより)」と定義されています。


アトピー性皮膚炎は、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られます。良くなったり悪くなったりを繰り返し(再発)、なかなか治らないこと(慢性)が特徴です。


(一口メモ)

アトピー素因とは、(1)本人または家族が、アレルギー性の病気(アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、ぜんそく、結膜炎など)を持っていること、(2)アレルギーと深い関係がある免疫物質「IgE抗体」を作りやすい体質を持っていること。簡単に言うと、アトピー素因とは「アレルギーを起こしやすい体質」のこと。


アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎の症状としては、「かゆみがある」「特徴的な湿疹と分布」という2つがあげられます。皮膚が乾燥して赤くなり、やがて湿疹や丘疹ができ、かゆみが出始めます。炎症は皮膚のごく浅いところで起こっており、赤ちゃんの場合は表面から0.5mmくらい、大人でも1~4mmくらいの場所に炎症は起こっています。


かゆみが強くなり掻きこわすことで皮膚や湿疹が傷つき、ジュクジュクと湿潤したり、かさぶたができたり、徐々に皮膚が厚く、硬くなることもあります。


【具体的なアトピー性皮膚炎の症状】

  • 赤みのある湿疹

  • 盛り上がりのある湿疹

  • ジクジクと水分の多い湿疹

  • しこりのような湿疹

  • 掻くことによって皮膚が厚くゴワゴワした状態になる

  • かさぶたができる


ほかにも、かゆみのストレスからイライラしたり、精神的に不安定になったり、かゆみで夜眠れず不眠症になることもあります。


個人差がありますが、部位として顔や首まわり、ひじの内と外、ひざの表と裏などに湿疹が出やすい特徴があります。多くは乳幼児期に発症し、成長と共に改善していく傾向にあると言われています。しかし、大人であってもアトピー性皮膚炎に悩まされる人は少なくありません。


アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の原因には、アトピー素因やバリア機能が低下している皮膚状態などの「体質的な要因」と、アレルギー症状を起こす物質(アレルゲン)や皮膚への外部刺激など「環境的な要因」があります。


アトピー性皮膚炎を悪化させる要因として、食物抗原、汗、乾燥、搔爬、物理化学的刺激、ダニ、ホコリ、ペット、細菌・真菌などの感染、ストレスなどが知られています。子供の場合は食物、乾燥、搔爬などが主体となり、青年~成人の場合はストレスや物理化学的刺激による悪化頻度が増加する傾向にあります。


また夜更かしすること、パソコンや携帯電話を長時間すること、甘い物や脂っこい物の食べすぎも症状を悪化させます。


また、同じ化粧品を使っても、症状が起こる人と起こらない人がいますし、あるときは大丈夫でも、あるときは症状が出るということもあります。また、そのときの体調や精神的な状態によって異なることがあります。これはアトピー性皮膚炎が、一つだけでなくいくつもの要因が重なって影響する「多因子性」の病気のためです。


アトピー性皮膚炎を悪化させる生活習慣


アトピー性皮膚炎は生活習慣によって症状が大きく左右されやすい病気のひとつと言われています。生活の中に潜んでいる悪化原因をしっかりと取り除きましょう。これらは相互に関連し合うことが多いので、自分だけで抱え込まずに率直に医師へ相談しましょう。


① ダニ、ハウスダストなど

ダニのフンや死骸が体の中に入ると、免疫のしくみがそれらを異物(アレルゲン)と判断して、アレルギー反応が起きます。特に、子供のアトピー性皮膚炎はダニやハウスダストの影響が大きく、住環境によって症状が左右することもあります。


② 乱れた食生活

外食や偏食による栄養バランスの乱れや、ダイエットなど極端な食事制限による栄養不足など、食生活の乱れはアトピー性皮膚炎の症状に影響します。また甘いものや肉類、油、脂肪の多い食事などの摂りすぎもアトピー性皮膚炎の症状を悪化させやすいと言われています。


③ ストレス

精神的ストレスもアトピー性皮膚炎を悪化させる大きな原因のひとつと言われています。


ストレスで皮膚炎が悪化する場合、強いかゆみや皮膚症状が原因で心理的に追い詰められて、よく眠れなかったり人に会いたくなくなったりするしたり、薬への不安や医療への不信感、なかなか症状がよくならない無力感から医師の指示を守らなかったり自分の判断で治療を中断してしまったりすることが考えられます。


また、睡眠不足による成長ホルモンの分泌低下で、肌荒れが進みバリア機能が低下し様々なアレルゲンの皮膚内への侵入を許す弊害も生まれます。


その結果アレルギー反応が強く生じ、アトピー症状が悪化してしまうのです。


④花粉

アトピー性皮膚炎は、スギ花粉が原因で皮膚の症状が悪化することがわかっています。この場合、顔や首だけでなく、全身に痒みを伴う発疹が出ます。 スギ花粉だけでなく、ヨモギやブタクサなどの雑草やイネ科の植物などの花粉も原因でアトピーの皮膚症状が悪化する可能性があります。この場合、スギ花粉に触れないことが重要です。外出時は、マスクをしたり、帰宅時は洗顔やうがいをしっかりしましょう。直接お肌に触れるふとんや服などは外ではなく家の中で干すようにするとよいでしょう。


⑤乾燥

アトピー性皮膚炎の方の皮膚は、バリア機能が弱まり、水分が外へ出てしまっているため、乾燥しています。皮膚が乾燥していると、外部からの刺激を受け、かゆみを感じます。そこで掻いてしまうと、新たな傷が生じたり傷口が悪化して、皮膚の状態がさらに悪化します。掻いた刺激によりかゆみが増すため、また掻いてしまい、外部からの刺激物質が侵入しやすくなってしまう……、という悪循環に陥っているのです。


アトピー性皮膚炎の対策、どうしたらいいの?


アトピー性皮膚炎の改善には、皮膚の生理学的異常に対する外用療法やスキンケアでかゆみや炎症・赤味など“症状”を改善する「対症療法」と症状が出ている“根本の原因(体質)”を改善する「根治療法」、そして薬によって治す「薬物療法」と、大きく分けて3つのアプローチがあります。


アトピー性皮膚炎の炎症は速やかに、確実にしずめることが重要で、そのためにステロイド外用薬が使われます。十分な抗炎症治療で症状を抑えたあとにも、保湿薬によるスキンケアに加えて、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を定期的(週2~3回)に塗って症状が抑えられた状態を維持する「プロアクティブ療法」を行います。


基本的に、アトピーでは上記のような薬物療法が最優先です。ここでは、それに加えて薬以外にも気をつけたい対症療法について紹介していきます。


1. ダニ対策

ダニやカビは高温多湿な場所を好みます。部屋の風通しをよくし、換気をしてから掃除をしましょう。布団はダニの最大の住みかです。したがって、布団をきちんと掃除することが一番大切です。布団カバーは最低週1回以上、可能なら週2回丸洗いします。布団も週1回以上、できれば週2回天日干ししてから、表面を家庭用掃除機で吸引するのがおすすめです。


拭き掃除と掃除機がけの順番は、まず拭き掃除から行ってください。これは先に掃除機をかけると、ダニが舞い上がってしまい拭き取れなくなってしまうためです。空気清浄機は部屋全体の吸塵をするものなら有効。ぜひ活用していきましょう。


2. 食生活に注意する

例えば、朝は菓子パンのみ、昼は丼もの、夜はカップラーメン…このような食事では、肌を作るためのたんぱく質や、新陳代謝を促すビタミン類などの不足に繋がってしまいます。


食事の基本は、主食(炭水化物)・主菜(たんぱく質)・副菜(野菜類)の3つを揃えることです。この3つを揃えることで、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素が摂れるようになるのです。毎食揃えることが難しくても、「今日の昼食は野菜が少なかったから、夜は多めに食べよう」など前後でバランスをとればokです。


食事のバランスに気を付けていても、揚げ物が多い、ポテトチップスをよく食べる、肉の脂身が好き、など脂質の多い食事になっていないでしょうか。また、甘いものが好きで毎日お菓子を食べている、毎日砂糖入りのコーヒーやジュース類を飲んでいる、など糖質を摂りすぎていないでしょうか。


マーガリンやドレッシング、スナック菓子などに多く含まれるn-6系脂肪酸の摂りすぎはアトピー性皮膚炎の症状を悪化させると考えられています。揚げ物やスナック菓子などの食べ過ぎに注意し、n-3系脂肪酸摂取のためにも週に3,4回は魚を食べることがお勧めです。


糖質の過剰摂取は腸内で悪玉菌を増やす原因となります。前述の通り、善玉菌を増やし腸内環境を良好に保つことがアトピー性皮膚炎の緩和に役立つと考えられているので、甘い飲みもの・食べものを摂りすぎないよう注意しましょう。


3. 汗対策・日焼けを避けてスキンケアをする

スキンケアとは、皮膚を清潔にして、積極的に保湿することで皮膚のバリア機能を保つケアのことです。日焼けがアトピー性皮膚炎の悪化の原因になる場合があるので、炎天下では長時間にわたって太陽に当たらないようにしましょう。


とくに炎天下でかく汗は、すべての年齢層におけるアトピー性皮膚炎の主要な悪化要因です。その一方で、汗は皮膚の保湿のために重要な働きをしており、皮膚の角層バリアの機能維持にとっても重要なものです。アトピー性皮膚炎の患者さんにとって汗をかくことが問題ではなく、余分な汗をかいたまま長時間そのまま放置しておくことが問題です。


汗をかいたときには具体的には下記のことを行うことが大切です。

  • シャワーを浴びる

  • 手や足などであれば流水で洗い流す

  • おしぼりで拭き取る

  • 服を着替える


毎日の入浴やシャワー浴で石けんを用いて洗浄します。石けんはよく泡立てて、強くこすらず、シワなども丁寧に洗いましょう。洗浄後は保湿をすることが必要です。保湿薬は入浴後すぐ(5分以内)に塗るのがよいとされています。


4. 衣服などの外的刺激を避ける

アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリア機能が弱まっています。そのため、ちょっとした刺激に敏感に反応して、かゆみなどの症状があらわれ、悪化することがあります。硬い生地や飾り模様などで凹凸の多い衣服を着ると、刺激で症状が悪化します。古くなって生地が硬くなることもあります。


汗を吸い取らない生地や温まりすぎる生地なども痒みを誘発します。たとえ柔らかい生地でも、ひらひらして皮膚に触れるようなものは、痒みの原因となるので注意が必要です。コットン素材、綿など肌触りの良い衣服を着るよう心がけましょう。


5. 睡眠をしっかり取る

一般的に痒みは夜間に増加します。


その理由としては、

  • 睡眠による深部体温の低下に伴う皮膚温の上昇が、入浴・就寝の影響でさらに上昇しやすくなり、痒みが増す

  • 外部からの刺激が減ることにより、痒みの感覚がはっきりしてくる

  • 夜間に角層バリア機能が低下することで皮膚の水分蒸散量が増加する

などが挙げられます。


痒みによる不眠への対策の基本は、こまめなスキンケアなどの痒みの対策となります。また散歩やジョギングなどの運動を行い軽く汗を流すことも睡眠の質の改善につながります。


あまり遅い時間に運動をすると交感神経が高ぶってうまく入眠できないこともありますので、日中、夕方など熱中症に気を付けて就寝の4時間程前までに行いましょう。


6.サプリメントを活用する

薬にプラスして、サプリメントを活用することもおすすめです。


プロバイオティクス(Probiotics)とは、人体に良い影響を与える微生物(善玉菌)を含む製品、食品のことと定義されています。それを食品やサプリメントを通して十分な量を摂取した時に、腸内細菌が変化することで、体に良い影響を与えることがあります。現在、日本でもL92の乳酸菌が入った乳酸菌飲料やサプリメントが発売されており、アトピー性皮膚炎に限らず花粉症などのアレルギー疾患の症状の改善が認められています。


また、亜鉛も効果的とされています。アトピーと亜鉛の関係は、亜鉛は皮膚にも多く存在しコラーゲンの合成に関わっていることにあります。亜鉛不足になると健康な皮膚が保てなくなって、皮膚炎やかゆみなど、皮膚や粘膜のトラブルが生じやすくなったり傷が治りにくくなったりするのです。亜鉛は牡蠣や牛肉、豚肉に多く含まれていますが、サプリメントから摂取する方法もおすすめです。


しかし、その効果の現れ方は、人によって様々ですので、その点には注意が必要です。また、サプリメントや食品はステロイドの塗り薬などの治療の補助的な役割と考え、上記の生活習慣改善と同様に「プラスアルファ」としてとらえることが大切です。


まとめ


いかがでしたでしょうか。大人になっても、アトピー性皮膚炎で悩んでいる人はたくさんいます。重症化して、仕事や結婚、勉強や余暇など人生に深く関わる場面で自分の進みたい選択肢をあきらめてしまう人たちもいます。


アトピー性皮膚炎は、適切な治療により症状がコントロールされた状態が長く維持されると、症状がなくなる「寛解(かんかい)」が期待できる病気です。アトピー性皮膚炎の治療は薬物療法やスキンケアが基本ですが、私たちの体を作っている食事のバランスを見直し腸内環境を整えておくことも大切です。